球体/aidanico
星も出ない夜、
寒さに静まり返り
冷たさだけが
消えた街灯の下に
佇んでいる
よる、
眠りに付こうとする
皺だらけの手が
手を伸ばすと
両の肢がでる
大地は俟っている
お前よ、
何を泣く
寝床の温ささえ
知らないのに
*
目を開いて睫を
両側から見詰めている
群青の、
眸が
割
れ
る
両生類
その類の
鰭のあるぬらぬらとした
体を撓らせて、落ちた、淡い桃色の
滴るような肉を
喰らう
音が
聞えて
居るのに
未だ動かない
*
季節外れの蝉が鳴いている
褐色の皮膚は脆く
ぱらあ、ぱっぱらり、
と
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