球体/aidanico
落ち葉に溶け込むのを
内側から
視界の開けてゆくのを見る
*
鴎、
広々と翼を広げ
潮の香りのする海を
飛び交う
警笛が
聞える、遠くから
旋廻せよと
言うでもなく
戻ってこいよと
言うでもなく
腹の白と雲の境界線を
知らないのに
*
深緑の苔の覆う沼から
両足を這い出し
近づくのだか
接吻するように
首に回る
黄色いびいだまの視線は
転がる
前に
ゆっくりと
*
お前よ、
何を泣く
象の眼が老人のように優しいのを知っているか
猿の尻が恥しさに赤いのを知っているか
鳥が嬉しそうに騒ぐのを知っているか
蛙が声を合せて歌うのを知っているか
お前よ、
何を泣く
この地平を
仰いでも、
仰ぎきれないのに
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