「おもかげ」/にゃんこちゃん
ずっと
見つめあっていると
自然と涙が込み上げてきて
ぼくの頬をつたわっていく
あなたに似ている人の前で。
「どうしたのですか?」って
口では言わないんだけれど
そう
訴えかける眼をしている
くちびるのかたちまで
似ているよ
こんなにあなたに似ているのに
僕のことを見つめてくれているのに
たったひとこと
『次、降りますから』と言って
もう降りていってしまう
吸い込まれるように
不吉な闇の中に消えていく。
ぼくは、あとに取り残されて、
どこにいくかわからない
バスに揺られて
あなたを思い出す
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