手遅れの迷いが映し出すものは/ホロウ・シカエルボク
 

上映が終わったスクリーンを思わせる明るさで
ブラインドの向こうをヘッドライトが舐めてゆく




私はとても豊かだった
信じているだけで手にすることが出来たものがいくつもあった
世界は光に満ち溢れていると感じていたのに
そのためにいくつもの真実を見落としてしまっていた
たったひとり
誰の肩にも手が届かなくなってからそんなことを自覚してももう遅いのだ
流行歌に踊らされる小娘のように
私は浮かれて乗せられていたのだった


眠りの中で見つめた景色の
その薄暗いこと情けないこと
虫の死骸が降り積もる大地を吹いてきた風を浴びるような気持だった
私の心の中に生まれ
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