あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
、これを個人レベルで観念できない理由はない。個々人の歴史の意味は、その終点(死)において、初めて確定するのだ。
しかし、ヘーゲルの「世界史」は、歴史についての「大きな物語」を語るものとして、痛烈な批判を浴びた。「歴史の意味は組み尽くすことはできない」、「ヘーゲルは、歴史を一つの目的論に帰結させようとする、全体主義者だ」というような批判が噴出し、そうした「目的論」を拒否する、「ポストモダニズム」の思想が、一時期の思想界を席巻した。
それに比べると、あをの過程さんのこの解釈は、「個人」についての「歴史」を語るものであるので、かなり問題性は少ない。が、人の生を一つの方向性へと導こうとする、強
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