あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
親戚とか)から知るだろう。そしてその事情をさらに解釈するための知識を、諸々の人生経験(例えば自分が子を持つ経験をする、子を持つことに関係する様々な事情や感情を知る)から得るだろう。そうした種々の知識を以って、私は、死の時点で、私の誕生の意味を「確定」できるかもしれない。
これはやはり、哲学で言えばヘーゲルに相当するような観念だろう。ヘーゲルは、歴史の終末において、初めて歴史の意味が明らかになると考えた。歴史が始まった理由は、歴史の終点において、(それまでに蓄積された種々の出来事と、経験と、哲学的知識を以って)初めて確定する。ヘーゲルはそれを如何にも壮大に「世界史」のレベルで考えたわけだが、こ
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