あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
 
釈というのは、普通余り念頭に浮かぶことがないので、確かに異様な説のようにも見えるが、それほど摩訶不思議なことを主張しているわけでもない。例えば、親にとって私の誕生は、もしかしたら喜びであり、或いは苦しみであり、或いは憎しみであり、或いは希望、或いは絶望、等の感情を意味するものであったかもしれず、或いは結婚、離婚、職業につく、変更する、新しい家族ができる、諸々の面倒な手続と世話、等々の事態を意味するものであったかもしれず、その解釈は無数に可能である。生まれたとき、私は私自身で、私の誕生の意味を捉えることはできない。しかし、死に至るまでの間に、私はそれにまつわる様々な事情を身の回りの人(親とかその親戚
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