いくつもの種類の赤/ホロウ・シカエルボク
いうことと同じくらいに認識としてはまるで意味がない…俺にはもう時計を眺めるつもりは無かった、時計が必要な時間じゃない、「時計が必要な時間じゃない」頭の中でゆっくりとその言葉を繰り返すと、ああ俺は少し頭がおかしくなっているのだろうと感じてほんの少し哀しい思いをした
カーペットに刺した錆びたナイフを引き抜き、頭上に光る澄ました月にかざした、月よ、俺はおまえのことを殺したいと思っているかもしれない―だけどそれにはどうすればいいのかまるで判らない―おまえが死ねばこの地球上のあらゆるバランスは崩れてしまうのだろう?俺は腕をまっすぐに伸ばして、刃先が月の真中へ入るように懸命になった、ちょうどライフルの銃身で
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