いくつもの種類の赤/ホロウ・シカエルボク
俺はそのままの体勢を維持して痛みに耐えながら少しずつ時計の方を振り返る、刻むもののリアリティ、そいつが俺にそんな無様な意地を遂行させるのだ、刺激された傷口から新しい血液が流れる、新たな体温が俺の外郭を伝う、俺にはもうそいつを抑える意思はない、俺は文字盤を読もうとしている、一度血を流してから、そうだ、だいたい一時間が経過しているようだ…俺は首を元に戻す、さっきとは違う種類の痛みが傷口から耳を経由して斜めから脳天を突き上げる、そうだ、肩口から脳天を貫かれるみたいな感じだ、俺はしばらくの間涙を流すかのように俯いたままで傷みを抑え込んでいる
痛みが引き、顔をあげると、時計の音がやたら遠くで聞こえているみ
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