あたたかいものを、ひとつ/木屋 亞万
を拾います
ある日、幹はそれほど太くないのに背は高く、大きく梢を広げている木の根元で休んでいると
細長い橙の葉を散らしながら真っ黒な幹が言いました
「なぜ君は葉を集めるのだ」と
「葉たちがかわいそうだからです」と私は答えました
「君がしているのは墓場から骨を持ち出すのと同じだ、今すぐやめた方がいい
彼らは葉緑素を失って、あとは大地に眠るだけの存在なのだ
眠ることにだって意味はある、そう思うだろう」と木は言いました
私は何も言えませんでした
両腕でしっかり落ちないように抱えていた落葉を
そっとその木の根元に置いて帰ってきました
私は知っていたのです、落ち葉が林に絨毯のように
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