あたたかいものを、ひとつ/木屋 亞万
うに敷き詰められて
少しずつ彼らは雨風に崩れていき、やがて雪の下に眠る
春が来て雪が解けていくと、彼らは生まれたての土になっているのです
私は今まで集めていた葉を持って先ほどの木の所へ行きました
麻の袋から彼らを取り出して置いて帰ろうと思ったら
さっき落ち葉を置いたところに紅と黄の混じったような色の玉が置いてありました
私は持ってきた落ち葉を置いた後、その鮮烈な色をした玉を拾って麻の袋に入れました
触ってわかったことには、それはとても温かい玉なのでした
秋が来ると、山は燃えていきます
それは比喩でも何でもなくて、本当に火が起きているのだと思います
生命の灯火が消える前に生きていた証として炎を全身で表現しているのです
寒さが厳しくなっていく秋の夕暮れのなかで眺める林の木々
ぼんやり照らされる紅黄葉に、ほのかな温もりを感じながら
小さな胸にあたたかいものを、ひとつ抱いて私は帰ります
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