記憶に巣食う鬼/小野カオル
所が無いと感じる若い女性たちが集まり、やがて共同生活に入る。女性たちの親は娘を取り戻そうとするが、彼女たちは共同生活から離れることを頑なに拒む。女性達とその家族はお互いを理解することができない。信仰心を軸にした千石と女性たちの絆は、親やマスコミ、警察を敵にまわしてより強まっていく。家庭に安らぎの場を見出せない彼女たちにとって、絆を感じられる方舟の共同生活の方がリアルな手ごたえをもたらしたのかもしれない。
ビートたけし演じる千石イエスの実直そうな表情と耐えているような肩や背中が目に浮かぶ。世間や警察を敵にまわしても信念を貫く、もう若くはない男。そういう男を中心に一丸となっている娘たち。彼らの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)