『思い出すこと』/にゃんこちゃん
 

あなたは
ほんとうの慈しみを抱えて
海から上がって来た
いたいけなおさなごだったのだ。

その腕の中には
いつも繰り返されては
誰もが気づかずにきた
ほんとうの悲しみが
抱えられていた

娘のようにあどけない
あどけない
悲しみが

そうだね
僕達は、いのちを抱えて
海から上がって来たんだ

ときどき君のなかに海を見ることがあった

ほんのりと輝く
三日月とともに
追いかけられた波を眠らせて
静かな砂浜で
ひとりで踊る小さな記憶
いまでは老人となってしまった
僕のかたわらで

あなたが好きで歌ってくれた
よく歌ってくれた
僕達のうた
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