『思い出すこと』/にゃんこちゃん
 


会えなくなってしまう
小さな夜には
それぞれの居場所で聴こうと
しめし合わせた
うたなのに

それをひとりで聴いている

誰も来ない
秋の夜の海で

髪は真っ白くなり
あなたの好きだった細い指も
今では
大きな皺で盛り上がり
浜風をすくう

あなたの死に顔を
とうとう見られなかった

やっぱり、僕の方が
生き残ってしまった

この歌を聴くたびに
少女のあなたが
小首をかしげて振り返る

まるで
いつも繰り返されている
誕生と生の終わりのように

僕が抱えているものを
確かめにやってくる

僕と君が
いのちを抱えて
上がってきた
海のほうから

娘のように
あどけなく

娘のようにあどけなく





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