レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
われており、使用者である人間の思うように使われるだけのものになっている、人間を脅かすような「他性」という側面を覗かせることはない、ということである。
ハイデガーを当然の前提にしたり、「他性」という言葉を使ったりする辺り、少々入りにくい感じはあるが、日常的には私たちが色々なものを単なる「実用品、道具」としてしか見ていないこと、これは別に理解できないことではない。卑近な立場から言っても、身の回りは「実用品」で一杯である。純粋に眺めて楽しんだり、その美しさを味わったり、そうした機会というのは殆どない。たまに、「実用品」の中にもそれ固有の美を見出したりすることもあるが、忙しい日常においてはそんな暇なこと
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