レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
ことにかまけていることは殆どない。「実用性の歯車の連鎖」をたぐって、あれが必要だろうか、これも必要だろうか、考えては次々物を買い足し買い換えていく、私たちの日常はそうしたものである。
それに対して、
「芸術は諸々の事物を世界から浮き立たせ、そのことによって事物を一主体への帰属という状態から引き離す。芸術の初歩的な発現形態のうちにみとめられるその基本的な機能は、対象そのものの代わりに対象のイメージを差し出すことである・・・まさしく写真が果たすのはこの機能だ。このように、私たちと事物との間に、事物のイメージを置くことは、世界の見晴らしから事物を引き離す効果をもつ」(p104)
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