レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
 
106)
訳者註によると、<アイステーシス>というのは「感覚」のギリシア語の言い換えだそうだ。aisthesisで、美学(仏語ではesthetique)の語源にもなった言葉らしい。
「感覚は対象へと導く道ではなく、むしろ対象から遠ざける障害なのだ。・・・感覚は知覚の素材ではない。芸術において感覚は新しいエレメントとして浮かび出る」(p106)

曖昧というか、やや文学的な表現に走りすぎていると感じられないこともないが、把握の仕方としてはなかなか面白い把握ではないだろうか。現実世界においては、ものは「対象」として「知覚」され、「道具」として扱われる。それに対して、芸術の世界においては、ものは
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