レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
現実の事物」の、何らかの部分を「欠落」させている。ある意味、「イメージ」は「対象」(現実の対象、本当の事物)「以下」のものなのである(「それはベルクソンが、対象の上にとらえられた眺め、抽象、と呼んだものであって、彼は・・・それを対象以下であることと見なしている」(p104))。レヴィナスはこれを、「知覚」に到達しないこととして捉える。
「芸術の運動とは、知覚を離れ感覚を復権させること、知覚という対象への差し戻しの作用から質を引き離すことである。志向が対象まで到達せずに感覚そのもののうちに踏み迷う、そしてこの感覚の中での、<アイステーシス>のなかでの踏み迷いが、美的効果を生むのである」(p10
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