レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
 
うような感じなのだろう)。
「現実性は、所与としての世界には異質なままにある・・・知覚のなかに、ひとつの世界が与えられる」(p106)
芸術作品が示す別の「リアリティー」についても、このように言及がなされている。

さて、「絵の中の世界」等が「異郷(別の世界)」であることは、表現が少々変わっていることを除けば、普通に考えても理解できることである。レヴィナスは哲学者として、この事態が一体何に由来するものなのか、より詳細に見ていこうとする。

ここで、レヴィナスは、「知覚」と「感覚」の議論を始める。これは多分現象学の展開の中から出てきているテーマなのだろうが、恐らく「知覚」というのはほぼイ
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