レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
能があるとする。
同じことを纏めて、
「絵画や彫刻や書物といったものは私たちの世界に属する対象だが、それらを通して再現された事物は私たちの世界から離脱しているのだ」(p105)
とも言っている。
最初出てきた「他性」という言葉も、この「引き離し」のことである(「再現された対象も私たちの世界の一部をなすものではあるが、芸術はいかに写実的なものであっても、その対象に他性という性格を伝えわたす」(p105))。
面白いことにレヴィナスは、こうして世界から「引き離された」事物のあり方を「裸」とも呼んでいる(「芸術は、対象を裸のままで私たちに差し出す。裸といっても衣服がないということではなく、
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