レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
くらいしか聞いたことがないけれども、そうした場合というのは、結構美術上も「特別」な場合として場合分けされていると思う。余りにも本物らしすぎる女性の彫刻を彫ったらそれが本物の女性になってしまったピグマリオンとか、涙で鼠を書いたらその鼠が抜け出して走ったという雪舟だとか、そうした伝説は、「本物」と「間違ってしまう」ほどリアルな作品というのが、本当に「まれ」であることを伝えている。
ということで、とりあえずレヴィナスは、芸術の初歩的な機能として、「イメージ」(単なる記号ではなくて、外形上一定の類似性を持った、つまり写実的な要素を持ったもののことと思われる)を提供し、その事物を「世界から引き離す」機能が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)