レヴィナスの芸術哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる9/もぐもぐ
勿論そんなことはしない。絵に描いた餅を、本物の餅と間違って食べてしまうようなことは、私たちはしない(普通は)。見かけはそっくりだし「これは餅だ!」と私たちは直感的に認識することができるのに、それでも絵に描いた餅と本物の餅は間違わない。この「間違わない」(実用品以外のありかたをしていると見る)ということ、これを少し形而上学的な表現で描写すれば、「(写真・絵に写された)事物Aは世界から引き離されている」と表現できる。
勿論想像を絶するほど写実的な作品等においては、本当にそこに餅があるかのように間違って手を出してしまいそうなこともある。けれども、スーパーリアリズムとか、トリックアートとか、私は名前くら
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