無味/ヨルノテガム
ら湖面からへと伸びる水草の根の生命力は
愛という言葉の生命力と等しく思える わたしは愛について
よく知らないの、チャチャ、ですが。
散歩する朝を思い描く行動的な主人公像と
部屋から一歩も出ない物書きの眠らない朝を演じる道化役の不在。
座られない椅子を前にあたかもが何処かをシェイプアップ、スマートに
仕上げて見せることに目的と過程と結果は費やされる羽目に、
喜びがのろのろお辞儀をして、うなじを逆さまに見つめてしまったわ
と、声は出さずとも辻褄は人生のスパンの中で記憶と頭のいい人の中で
つながり編み込まれていくはずよと、チャチャ、もう一日が一時間
ばかりで過ぎ過ぎていくわと
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