トマト/アンテ
 
を生かしているなら
機械はぼくの一部なのだろうか
あるいはぼくは機械の一部で
生きてすらいないのかもしれない
でも
地震や洪水で命を落とす人だって
地球の一部だけれど
それでも人間なのだから
ぼくだって
生きていると言ってもおかしくないはずだ
黙り込んでいると
彼女は両手を複雑に動かして言った

目に見える四角い型枠だけが
形を決めているわけじゃないのに
そのせいにすれば安心なのね

両腕を高くあげて
背伸びをした彼女が
釣り糸にかかって
どこか遠い世界に連れ去られてしまいそうで
気がつくと
ぼくは彼女を抱きすくめていた
強く引っぱると
幸い釣り糸が
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