迷彩/nonya
雨雲がはびこった空へ
僕のねずみ色の狡さが
こっそり飛び去っていくのを
ぼんやり見落としながら
また天気予報がはずれたと
君は唇をとがらせた
ガジュマルの葉っぱに
君の赤毛のしたたかさが
ぎっちりしがみついているのを
やんわり見落としながら
出掛けないほうがいいかもと
僕はTVのリモコンをいじっていた
どうしても言い出せない
砂埃によく似た言葉が
テーブルの上に降り積もるのを
見て見ぬふりで
二人は熱い紅茶をすする
するすると
ずるずると
済し崩されていく毎日を
幸福と呼べないことはない
見破ってはいけない擬態を
すんなり避けながら
剥
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)