迷彩/nonya
 

剥がしてはいけない保護色に
はんなり微笑みながら
僕は大人を続けているし
君は女を続けている

綻びかけた互いの輪郭を
するすると
ずるずると
器用に引き抜いた君は
仕方なく編み物を始めながら
お昼は何にすると
僕を見ないで聞いた

ありもしない無垢を
すらすらと
ずらずらと
並べただけの流行歌に
飽き飽きしながら僕は
なんでもいいよと
君を見ないで答えた

休日の短い午前の
穏やかなキャムフラージュを
幸福と呼べないことはない

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