「大胆」な「懐疑論」と異なった「リアリティー(現実)」−「存在の彼方へ」を読んでみる8/もぐもぐ
ーゲルの微妙さと、それだけに鋭い視点があるかもしれない。
「抽象的・普遍的」な真理が、「個別的・具体的」な現実として「貫徹する」。確かにこれは、「抽象的・普遍的」な真理が、一方的に現実を支配しているという文として読むことができる。けれども、この根拠となっている事実をよくよく考えてみると、それは、「目の前にいる人、それまで知らなかったものを具体的に目の前で目撃すること、そうした「個別的・具体的」な出来事によって、私たちははじめて「現実」を知る」ということである。私たちは「主観的」に、勝手に世界に対して各種のイメージを持っている。けれども、ある「個別的・具体的」な出来事に実際に直面することによって、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)