黄身/カンチェルスキス
 
酒屋の入り口のちょっとした段になってるところに
 腰をかけた。
 右手に徳用の焼酎のペットボトルを持っていた。
 俺が左を振り向くと
 黒のネグリジェのようなざっくりしたワンピースを着た中年女が
 薄汚い雑種の犬を連れて歩いてきた。
 そして俺の右には
 生理がはじまったぐらいの自転車のガキが
 二人ガムを噛みながら
 信号を待っていた。
 それから斜向かいの餃子の王将で
 フロアマネージャーが客にしきりに
 頭を下げ
 車はびゅんびゅん走り
 老婆はものすごくリラックスして
 腰かけて
 居酒屋の女は箸の数を
 数え直していた。



 信号が青に変わる
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