黄身/カンチェルスキス
 
わる。
 なぜだか知らないが絶望感いっぱいの俺が
 武富士のポケットティッシュで
 ジーンズの後ろポケットをふくらませ
 横断歩道を渡ってゆく。
 先頭のマーク?がまず俺を追い越し
 続いてフルフェイスの原付が
 追い越し
 それから自転車のガキが追い越し
 俺は焼酎の老婆とすれ違い
 新しくできた回転寿司屋は
 パチンコ屋の死角になっているから
 遅かれ早かれ潰れるだろう
 居酒屋の女の姿はもう見えなくなっていて
 自転車のガキの姿は
 あっという間に暗闇の奥に消えていった。




 畳屋の前で伸びをした黒猫の
 眼とぶつかった。
 変電所の前で
 卵が一個
 真っ二つに割れて
 黄身が飛び出していた。
 まだ崩れてなかった。




 
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