昨日は孤独な世界?/錯春
 
引きするし。いや、僕が僕を見ても変わりないか。僕が女か男で、女でも男でもない僕を見たら……やっぱりドン引きするよな)

タマトは自分のことを決して「男でも女でもある」とは考えなかった。
「男」だの「女」だのといった概念は、なんらかの欠損によって成り立つものであるからだ。
どちらも得ていることは、どちらも得られないことと一緒だった。

(タマトは自らのペニスの下にある膣が、自慰の刺激によって少し潤んでくるのを感じる)

向かいのアパートのベランダに、いつの間にか半裸の男の子が座り込んでいる。
タマトはぼんやりと、視力の弱い瞳でその男の子を見つめる。
男の子の肌は自分と同じくらいに
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