昨日は孤独な世界?/錯春
 
ている、中学生が独り。ケイシは運動が嫌いだ。だが、体育のテストで馬鹿にされるのはもっと嫌いだったので、必死に練習をしていた。
確実に失敗をしないと確信できるまで、あともう少し練習した方が良さそうだ。
ケイシは、その年頃の中学生がそうであるように、ある種の病的な、または荘厳なる精神を持って、ひとりぼっちでグラウンドにいた。
ざわざわ鳴るのは、ケヤキの樹か、それとも、土手を隔てて広がっている茅の群れか。
ケイシは、ため息をついて、鉄棒の上に腰かける。

(桜の木の下には、死体が埋まっているていうけど、地球上に生命が存在してから、死体が転がらなかった場所なんてあるの?)

ケイシの妄想は
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