ハイツユカリだとか、中町コーポだとか、なんだかそんな感じの名前のついたアパート/リヅ
 
起こるのを待っている。

 若草荘だとか、メゾンドそれいゆだとか、なんだかそんな感じの名前のついた、平凡なアパートに住む、平凡な女の子たちは、平日の晩、まるで決まりごとであるかのように毎週集まり、何度でも恋の話をする。もちろんそれがおしゃれの話であってもいいし、職場の友人や帰り道ですれ違ったノラ猫の話でもいい。そんなのって、とってもよくある話。

 彼女たちが無駄話に花を咲かせる一方で、いくつかの物事は徐々に、ゆっくりと、しかし着実に進行している。例えば一人目の女の子を自分だけのものにしたいと思っているとある男の子が百二十一枚目の便箋に愛を綴っている。例えば二人目の女の子に捨てられたとある
[次のページ]
戻る   Point(3)