神話/葉leaf
 


昔、ひとりの修行僧がいた。彼は、心が完全に澄み、あらゆる悩みや欲望が彼を通過していき、何物にも動かされない境地を目指した。物事に動かされないようにと、彼はどんどん重くなっていった。瞑想や思索によって、彼の心はどんどん固まっていき、表面は非常に硬くなった。悩みや欲望を透過させるため、彼はどんどん透明になっていった。ただし、彼の達した境地は、人間としてはありえないものであり、その意味で不安定で壊れやすい境地ではあった。こうして彼はひとつの重くて透明で硬くて割れやすい彫像になった。こうしてガラスが生まれた。



昔、文字たちが人間に酷使されることに耐えられず、こっそり逃げ出したこと
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