自由意志と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる7/もぐもぐ
だが、レヴィナスが立つのは、この「自由意志」論及びそのバリエーションとは、根底的に異なる立場である。つまり、誤解を招くかもしれないが、敢えて単純化して言ってしまえば、人間の「自由意志」が働かない場面から発想を始める(「自由意志」自体を否定するわけではない。「自由意志」が働かない場面も包含して説明できる理屈立てを目指すわけである)。人間は、「他者」に服従している、そうレヴィナスは捉える(「存在の自己疎外さえ、・・・「他人のために身代わりになる一者」、「他者のための存在」という必然的な奉仕の一様態・・・にすぎないのだ」(p139))。
これは単純には、「倫理」について論じようとする者には
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