自由意志と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる7/もぐもぐ
いう再帰代名詞の尋常ならざる再帰なのだ」(p34))
日本語にはこれに丁度対応するような語はない。しかし、「〜と思われる」とか、「〜に見える」とか、「自ずと〜される」という意味の各種の言葉に、このseの意味が含まれていると考えられる。思ったり見たりしているのは「私」なのだが、その意志は必ずしも私に由来するものではない。これは、意識の受動性が、単に外から与えられているというだけではなくて、自発的にそうするような形で外から与えられているという矛盾的なあり方をしていることにも関係している。
もう少し言い換えると、意識が最初から受動的な形で与えられているという際のこの「受動的」とは、第一に、「私は〜さ
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