余計なものを連れてくるから/ホロウ・シカエルボク
それはあくまでひとつの在り方を提示するに過ぎない、折り返し地点に立てられたパイロンの様なものだ
ビ、ビ、ビートニック、列車の振動に隠れて君は呟いた、安直なパンク・ミュージックを口ずさむように
それはどれだけの時間が過ぎてもがっかりするような気まぐれに違いなかった
上着のポケットから券を取り出して自分の行く先を知る
そこに書かれた地名には昔何度か行ったことがあった
でも何をしに行ったのかはどうしても思い出せなかった
君の立っている扉から斜向かいに座っていた、ぼさぼさの髪に洗濯ばさみをふたつ付けた童顔の女が君のことを見ていた
どうやらずいぶん前から君のことを見ているらしか
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