幻覚の蛙/ホロウ・シカエルボク
 
俺は右手の指でまぶたの上から目を揉んだ、自分の見ているものがどういった種類の景色なのかまったく理解できなかった、複雑化している、だけどそれを複雑にしているのは一体誰なんだ?幻覚の蛙と部屋の中で恐怖の正体について対話している俺ではないのか?どうして複雑にしなければならない?俺に鳴き声がないからなのか?俺の鳴き声、それこそが俺自身の詩ではないのだろうか?それとも複雑化されることは避けて通れないことなのか?身体の構造が蛙とは違うように、心情の構造も蛙とは違うものなのだろうか?俺はそのことを悔しいと思った、何故だろう?うまく説明することはできないけれども―俺が諭される側であり、やつが諭す側である理由、それ
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