幻覚の蛙/ホロウ・シカエルボク
 

「物事が複雑化すれば肥大化するものがある、それが何か判るか?…今までの話の中から君がそれを拾い上げることが出来るかな―?」
恐怖か、と俺は呟いた
「恐怖だろう」
蛙は軽く一声鳴いた「正解」
「君は詩とか…そういうものを書いたりするんだろう?」
「まぁね」
「それは恐怖から来るものだよ、君に詩を書かせてるものが我々にとっての蛇の目なんだ」
「―俺は詩を恐れているのか?」
「詩、そのものじゃない、君にそれを書かせているものが君の恐怖の原点さ」
俺はいつしか蛙の話振りに引き込まれていた、まやかしだと信じていたけれど、そう、何度も書いてきたように…リアルさなんてずっと薄れ続けるだけ
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