幻覚の蛙/ホロウ・シカエルボク
った、たちの悪い子供に教育的な責任感から仕方なく協議を続けている、とでも言いたげな態度だった
「すべては同じなんだ、君には判らないだろう」
「形を変えているだけなんだ、種類としては同じことばかりなんだよ―この世界に命を持って生まれてきた限りはね」
どう答えればいいんだ?
どう答えろというようなことではないよ、蛙はすっかり諭すような口調になっていた、その語り口には多少ならずムカついたが、なぜかそれを断ち切ってはいけない気がして俺は黙ってあらぬほうを見ていた
「僕らの世界は確かに君たちの世界ほど難しい問題を抱えたりはしない」
「僕らは生きて死ぬだけだ、その成立ちに難しいものはあまりない」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)