幻覚の蛙/ホロウ・シカエルボク
 
った、俺の心を見透かしたようなフレーズだった、俺は心底腹を立てたが
蛙が相手とあっては何をどうしようとも思わなかった、いやな気分だ、と俺は思った
その場で消化できない感情は嫌な重力を持つのだ、だが
仕方がない
前もって覚悟を決められるだけマシというものだろうか
その通りだな、と俺は答えた、蛙の口調を少し真似ながら
呪縛ってやつは、と少し間をおいた後蛙は再び話し始めた
「呪縛ってやつは、我々の世界にもある」
「判るだろう、蛇に睨まれた…ってやつさ」
「俺のそばには蛇はいない」俺はぼんやりと呟いた「俺は蛇に睨まれたりはしない」
「すべては同じなんだよ」とため息をつきながら蛙は言った
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