愛/木屋 亞万
私はその愛をごみ箱に捨てた
ゴミ袋を引き寄せるように底に
沈んでしまって見えなくなった
もう会うこともないだろう
今度は熱い愛を拾った
熱いままに鍋料理を作り上げ
冷めても漬け物を作り上げただろう
しかし今度の愛は重過ぎた
その重さに私は耐え切れず
疲弊していくばかりだった
私はその愛を売った
あまり価値を持たない愛も
金になることがわかった
その愛は夜の闇に消えていった
今度は軽い愛を拾ってみる
かかとを擦れば垢でも取れるかと
軽い気持ちでその愛に近付いた
その愛はとても傷つきやすく
お世辞にも美しいとは言えなかった
私はその愛を乱暴に扱うようになった
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