敵を知り己を知れば…仲仲治さんに恐る恐る話しかけてみる/石川和広
 
うと思っています。『転向論』や『マチウ書試論』では如何に自分を掘り下げ自分の無知や盲目な部分を見つめ、それでもきれいにいきられないでいる。他者を呪う。世界を呪い破滅の方向へ突き進む。その中でも自分の場所をいかにして見失わないかその難しさが語られています。昨今蟹工船がはやっていますけれど、吉本はそれ以降の共産主義がどのように覆いつぶされていったか、それは国家からの弾圧もあるけれど、一方でつづめていうとそこが浅かったからだといいます。
底が浅いというのは自分が生きるということは他ならぬこの社会と関わることだとして、社会の悪い点を見つめる。そこからこの社会と対立する点が出てくる。けれど、対立する社会に
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