敵を知り己を知れば…仲仲治さんに恐る恐る話しかけてみる/石川和広
 
です。
私は仲さんが吉本や橋本の最近のごく限られた作品しか取り上げないのがどうも不満なのです。他にもいいものがたくさんあるのです。たとえば橋本治の『恋愛論』。自分はみっともないけれど、このように恋し世の中を他人を見つめて関わってきたのだと克明に話されています。最近の著作も大事かもしれませんが昭和を総括した『‘89』。その他漫画評論から江戸文化論、歌謡曲、映画に関する評論。どれも昭和や近代ということを検証するため自分の身の回りの事物現象から拾ってきています。
また吉本のある意味の原点は戦中皇国少年だった自分が如何にあおられていたか、自分の眼でしっかりとものを見ていなかったかを考えたところだろうと
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