月の光/xxxxxxxxx
今宵は銀の三日月が
濃紺の空に刻まれて
満ち始めた何かは
わたしの
何かを壊そうとしていた
わたしは。
今、此処に居る意味を
喪いかけている。
【月の光・第三夜】
私は彼女を殺した。
何度も何度も殺した
無くならない。
彼女がいなくならない。
どこにいても
何をしていても。
何度殺しても。
上弦の月が
彼女を残酷に照らす
奏でるは
今宵も「月の光」
その横顔には
やはり表情は無く
ただその音には
一片の悲しみが
一枚の桜の花弁のように
風の中に織り込まれて
夜に溶けた。
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