受胎告知/ホロウ・シカエルボク
だぜ
紳士淑女諸君!俺の曝け出したもののことをどうか忘れないで欲しい!俺がどんなふうにそれを望んできたのか、喉が渇きを覚えるほど俺は語ってきた、それがすべての理由ではないし、それがすべての動機ではない、だけどもしも別れの挨拶の代りに俺に言えることがあるとすればそんなことぐらいだ、言葉に出来ることなんてそんなことぐらいなのさ、それ以上のことは俺には判らない、今では判りたいと思う気持ちもあまりない、それは時々、ある種の速度の先に行けた瞬間に垣間見えるだけでいい、俺がこの手に出来るものはそんなところで構わないのだ、ひとつも残さずに、ひとつも余すところなく、だけど、言葉は必ずすり抜けてしまうものだから
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)