作家願望日和/ヨルノテガム
 
であった
男は思わず息を飲むと
女は甘い匂いをただよわせ
男の周りをメリーゴーランドのように
回り乱れ飛んだ





先生と呼ぶ女の指が
先生と呼ばれる男の肩にゆっくり落ち着き

書きものの途中、男は白紙から目を持ち上げる
女は お茶をお持ちしました と
今まで一度も気を使ったことの無いことをして佇んだ
――珍しいね、コンロ使えたの
――はい。
――じゃあ そこ置いといて
――先生、今日は何をしましょうか、と
雑用をうかがってくる
わたしは何故か女の顔を底が抜けるほど見つめてしまって

無邪気

とポツリ雨粒のような声を洩らしかけた
――じゃ
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