作家願望日和/ヨルノテガム
じゃ、昨日の続きを。お願いします
―― は―い
夕刻から夜にかけて
書きものは続けられる
女は最初の一、二時間簡単な雑務をして帰ってゆく
目と目と鼻と口があって
若い女だった
明け方を過ぎるころまでわたしは何かを書いて
一生懸命辻褄を合わせようと回り道をする
それは次の日には抜け殻のようでもあり
夕刻になると、ひょっこりまた
女が現れ、先生 おはようございます と整理をし始める
女によると今日は給料日だそうで「先生」と呼んだ回数に
千円を掛けた額を頂戴することになっていると言う
女は無邪気に指折り数え出し 乱れたわたしの顔を覗き込みながら
「先生?」と、白い歯をチラリと見せた
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