爆裂(上、後)/鈴木
 
身を再び見つめた。どうせ蛾か、次は蝶か? 認めたくなかった、と思う。映じられたのは茜、寝息を立てる彼女の唇の軽く開き鼻も少し膨らんでいる、目を隠す髪を払ったが白いばかりどんな風に笑うのか泣くのか怒るのか空欄を残したまま泡は弾けてもうどこにもない! 眼前で睨むのは茜ではない。祥平は言う。
 ――ぐわん。
 ――は?
 ――仲直りするよ、ぐわん。
 三度げっぷして笑った涼斗を約束の日時にマンション広場のベンチ上より見る勝也は梅干を食いすぎたような顔をしていたがガリベンこと三年生・苅田洋介の連れが不在だと知るや元気になった。自転車の錆びたブレーキのごとき声音で洋介は痛覚の健全たるを示しながら学業
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