爆裂(上、後)/鈴木
 
違いざまに声をかけてみると素通りされた、妖精は四肢を振り乱し鬼気迫る形相で喚いたが内容はわからず、仲直りの秘訣はピクシー語の理解に隠されていて、こちらの価値観を一方的に提示するのではなく対話を通じて違いを違いと認め尊重することで心が通じ合い協力を取り付けられる。そんなことを話した。
 ――時間かかりそうだね。
 ――がんばる。
 たとえ錯覚でも自分にとっては存在するのだからどうしようもないというのが、考えた末の結論だった。祥平は確信していた。妖精を懐柔しなければ無視され続ける。歩く。通りを渡るたびに建物が低くなる。涼斗がたまに見る腕時計はデジタル製でショックに強い流行りの代物だった。
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