爆裂(上、後)/鈴木
 
を習うと順突きや逆突き、さらに蹴り、受けや払いも学び、これらを毎日々々反復するほどに一定のリズムで脈打つ襞の中に浮いており、透明の粒子が渦を巻き視界を揺るがせると共に皮膚を貫く。そこで彼は自らの鼓動を襞に合わせようとするもうまくいかず嘆息するけれども出入りする微小の粒は体内外に同じ密度で存在していた。滑り気に絡まれて四肢を振るうのも煩瑣でよく見るとごく薄い膜に包まれており程なく壁ゆろゆろと不規則な速度で凹凸に歪むうち光が差し込んで彼は誕生した。眩しさに慣れた目に飛び込んできたのは自己を透過していた親しげな粒子のごとき無数の瞳であり、それらのはびこる眼球を潤ませて笑いむせぶ女の赤い両頬のへこみが捻転
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